解析シーケンス

 

クロマトグラムの波形によっては、基本パラメータで一義的に解析条件を設定しても、リテンションタイムの違いによる波形のひずみ等の影響で、意図する条件でピークを検出できない場合があります。

解析シーケンスの機能を使うと、任意の区間の波形を波形処理条件を変えながら解析する事ができます。

また、ショルダーピークやネガティブピークを検出したい場合に有効な機能です。

 

■解析シーケンスの編集

繰返し番号を1に設定します。

 

 

※この解説は、解析シーケンスを作成した後に、一括解析により全ての繰返し番号のデータを解析する手順について説明しています。

 一括解析後、個別に再解析する場合は、再解析するデータの繰返し番号を選択してください。

 詳細は、解析実行−繰返し毎の解析 を参照してください。

 

「同定テーブル有効」のチェックマークを外し、同定テーブルは無効状態にしてください。

 

 

解析条件ウインドウを表示して、【解析シーケンス】ボタンを押して解析シーケンス編集画面に切り替えます。

クロマトグラム表示ウインドウに水色の区分カーソルが表示されます。

 

←区分カーソル

 

区分カーソル→

 
 

 

ポインタを左側の区分カーソルに近づけると、ポインタの形状が  に変化して、区分カーソルが強調表示されます。

この状態で、マウスの左ボタンを押しながら右方向に移動すると、ポインタに追従して区分カーソルも移動します。

この時区分カーソルの色は赤色に変化します。

区分カーソルを、解析区間の開始位置に移動してください。

同様に右側の区分カーソルを、解析区間の終了位置に移動してください。

 

 

※二つの区分カーソルの間で、【Ctrl】キーを押しながら左ボタンを押すとカーソルは、 に変化します。

この状態で、マウスを移動すると、二つの区分カーソルを同時に移動することができます。

 

解析区間が決まったら、ツールバー上の 【部分解析】ボタンを押下して、解析区間内の波形を解析します。

 

 

この時、解析シーケンスグリッドに、ファンクションが「部分解析」と表示され、開始時間と、終了時間が表記された行が挿入されます。

※区分カーソルで指定される区間が全区間の場合(開始時間が0分で、終了時間が分析時間)は、開始時間=0min、終了時間=0min と設定されます

 

次に、区分カーソルを移動して、別の解析区間を指定して、【部分解析】ボタンを押します。

 

 

解析シーケンスグリッドに、ファンクションが「部分解析」と表示された行が追加されます。

 

上記の例では、区間2.62min4.85min の間と、6.95min9.16minの区間で波形解析を実行する解析シーケンスとなります。

区分カーソルの時間範囲を変えずに、ピーク検出条件を変更しながら、【部分解析】ボタンを押すと、解析シーケンスのステップは追加されずに、最後の行のファンクファンクションの時間範囲で再度解析を行います。

「デフォルト」にチェックマークが入っている行は、最小検出面積や、スロープ等のピーク検出条件が、「ピーク検出条件デフォルト値」グループ内で設定されている条件に等しいことを意味します。

チェックマークが外れている場合は、各ステップに個別のピーク検出条件を設定する事ができます。

ステップ追加後の、「デフォルト」列はチェックマークが入っている状態です。この時、ステップ上のピーク検出条件は「***」となっています。

 

 

○解析シーケンスのファンクション

解析シーケンスに実装されているファンクションには以下の機能があります。

個々のファンクションの機能については、波形処理の原理−解析シーケンス を参照してください。

 

      部分解析

      部分削除

      テーリング

      リーディング

      谷渡りショルダーピークの谷渡り

      ネガティブピーク

 

■解析シーケンスの操作

解析シーケンスの各項目の設定値は、直接編集する事ができます。

行の削除や、ステップの最後に、新たなファンクションを追加する事ができます。

 

○行の削除

削除する行を選択して、右クリック―[削除]コマンドを実行してください。

複数行の選択も可能です。

○ファンクションの追加

ステップ最後のブランク行のファンクションのセルを操作して、ファンクション一覧の中から任意のファンクションを選択して、開始時間、終了時間、ピーク検出条件等を設定してください。

終了時間を0にすると、終了時間は、分析終了時間とみなされます。

 

※右クリック―[コピー]コマンドは選択セルをクリップボードにコピーします。

解析シーケンスには、ペースト機能はありませんが、解析シーケンスの内容を、エクセル等にコピーするときに便利な機能です。

 

○アンドゥ・リドゥ機能

解析シーケンスも、アンドゥ機能が実装されています。

使い方は、同定テーブルのアンドゥ・リドゥ機能と同じです。

 

○分析シーケンス編集を終了する

【分析シーケンス画面を終了】ボタンを押すと、解析シーケンス編集画面を終了します。

 

解析シーケンスの実行

上記方法により解析シーケンスを設定したら、ステップ1から、最終ステップまでを通して解析を実行します。

【解析シーケンス実行】ボタンを押すと、解析シーケンスを実行します。

解析シーケンスのピーク検出条件や、解析時間、終了時間を修正しながら、「解析実行」を繰り返し、意図するピークを検出できるように解析シーケンスを設定してください。

※解析シーケンスが設定されていない状態で解析シーケンスを実行すると、全領域で、ピーク検出条件デフォルト値の設定で解析を実行します。

 

全ピーク削除

検出したピークをすべて削除する場合の機能です。

【全ピーク削除】ボタンを押すと、下記のダイアログが表示されます。

 

 

「解析シーケンスもクリアする」のチェックマークが外れている場合は、ピークと解析結果だけをクリアします。

チェックマーク入りの場合は、解析シーケンスもクリアします。

 

※解析シーケンスの実行、全ピーク削除は、解析シーケンス編集以外のモードからも実行可能です。

※解析シーケンスの実行、全ピーク削除は、繰返し番号が1以外の場合でも可能ですが、解析シーケンス設定後、一括解析を実行する場合は、かならず繰返し番号1で解析シーケンスを作成してください。

 

■解析シーケンスの一括解析

定量やグルーピングを行う場合は、解析シーケンス作成後、同定テーブルを作成します。

同定テーブルの作成方法に関しては、同定テーブル設定を参照してください。

解析シーケンス、同定テーブルを設定したら、【一括解析】ボタンを押して、全ての繰返し番号のクロマトグラムの波形解析を実行して、結果を表示します。

一括解析の機能の詳細については、解析実行−一括解析 を参照してください。